「れいんは私の顔なんか見慣れてるだろう」 「んー。でもでもやっぱりメガネ掛けてるときとは雰囲気違うよ、小百合」 「…む」 じっと見つめる気配を感じたのか、少し照れくさそうに小百合は視線を泳がせた。 「どう? あっしの顔ちゃんと見える? この距離でもきつい? ぼやける? わかんない?」 「……いや。れいんの顔はもう憶えてるからな。目を瞑っててもはっきり浮かぶ」 覗き込む幼馴染みの頬を、その輪郭を確かめるように小百合は指先でなぞった。脳裏に浮かぶそれと寸分も 違わぬ感触に満足を覚える。 「ああ、でも。矢張りちゃんとれいんの顔を見たいからメガネを返してくれないか」 「――ばか!」 間近に見た小百合の澄んだ眼差しに真っ赤に染まった顔を隠すようにれいんは勢いよく小百合に抱きつき、 首筋に顔を埋めた。 「わ、こら、れいん。くすぐったいだろう」 「いいの、黙って、我慢して! しばらくこうさせててくれないとメガネ返してあげないんだから…!」 「全く……仕方ないな」 どこか嬉しそうに溜息を吐いた小百合が抱きつくれいんの背中をあやすようにそっと叩く。からかうつもりが逆に 赤面する羽目になってしまったれいんは少しだけ悔しそうにその感触を受け入れていたが、やがて、まるで幼い子 供がそうするように抱きついた幼馴染みに身を任せて瞼を閉じた。 |
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